「格差是正」はポーズ? 連合・自治労広島県職労幹部

格差是正」はポーズ? 連合・自治労広島県職労幹部
2012年 4月 5日 21:42 《広島》 【取材ニュース】 <人権> <労働・雇用> <地域> <市民活動> <自治体>
さとうしゅういち

わたくし、さとうしゅういちが、県庁時代、長きに渡って支部の執行委員なども勤めさせていただいた連合・自治労県職員連合労働組合。ただ、残念ながら、2011年1月、組合幹部らの汚い策略により、わたくしは、組合からも県庁からも事実上「追放」されました。

 わたくしの退職後、複数の非常勤職員らに取材したところ、惨状が明らかになりました。わたくしが「追放」された後、どうなったか、が気になって取材したわけです。結果は惨憺たるものでした。

非常勤職員労組立ち上げまではよかったが・・

 県職労は、2009年10月、非常勤職員の待遇改善のために、非常勤職員労組を立ち上げています。

わたくし、さとうしゅういちは、すでに組合以外の場所で市民運動として、また「独立系メーデー」運動として、非正規労働者の裁判闘争を支援するなどしていました。ですから、非正規労働問題には先行して取り組まさせていただいておりました。

 広島県庁においても以下のような状況がありました。同じような仕事をして、同じような給料にならない。通勤手当も実費が出ない。最近では当局側も、正規職員を削減し、非正規職員に、正規職員のような残業などもさせている。一年ごとの契約更新を盾に、まるで、奴隷のように正規職員が非正規職員を使ってきた実態もありました。

 それを改善しないといけない。そうしないと、結局、正規職員が退職しても、当局により非正規労働者に置き換えられて行き、結果として、労働者全体も大変な事になる。そのような危機感を抱いてきました。

 公務分野での非常勤職員待遇改善と、あわせ、同じように市町村が保険者であり、事実上市町村職員といっても過言ではない介護提供者の処遇改善は、なんとしても体を張ってでも実現しなければならない、と考えてきました。

 そして、そのためには、正規職員側も、年功賃金のカーブをフラットにするなどの手法で、犠牲を払わねばならない、と考えてきました。

 そういう意味で、2009年秋、民主党への政権交代と同じタイミングで、非常勤職員労組も広島県で立ち上がったことに、希望を持ちました。そして、2010年度から労使交渉の結果、とりあえず、交通費の実費支給は実現し、非常勤職員も交通費の持ち出しはなくなりました。

全くやる気なし!組合幹部
 
 そこまではよかったが、その後は活動が沈滞しているのです。

 まず第一に、そもそも、職場に新入の非常勤職員がいても、組合役員は声をかけようともしないのです。
 わたくしの取材に対して、「え、組合って、非常勤職員でも入れたんですね?!」(女性の元非常勤職員)という驚きの声がかえってきてこちらも腰を抜かしました。

 第二に、職場がますます分断されていて、それに対して組合が手を打っていないことです。現役の男性非常勤職員は「正規職員だけで仲良くして、職場は完全に分断されている。非正規職員は蚊帳の外という雰囲気だ。時には残業だってこなしているのに・・。」と不満を訴えます。

 わたくし、さとうしゅういちは、組合役員はそうはいっても、非常勤職員に声をかけるくらいしているだろうと思い込んでいました。

 それが複数の職場で全くないことが明らかになったのです。

 実をいえば、県職労も1960年代前半くらいまでは非常勤職員を、正規にするよう要求し、実現してきた時代もあったのです。高度成長で財政にも余裕があった時代とはいえ、見習わなくてはいけないとおもいます。

 今の県職連合労組は、大昔の先輩にも、今の非常勤職員にも申し訳ない実態になっています。「こんな有様だから、連合・自治労橋下徹大阪市長に打倒されるのだ。」心の底から怒りがこみ上げてきました。

 現在、自治労傘下の労働組合に加盟する非正規労働者も、わたくしに対し、「こんなことなら、佐藤くんに自治労の委員長になって欲しかった」とおっしゃいます。そして、そういう方は、「佐藤くんが県庁からいなくなり残念だ。」とおっしゃいます。

 自治労が応援する民主党も、介護職員の給与4万円アップを掲げながら、まったく守れませんでした。正規公務員の給与を2%強カットすれば財源はあるというのに・・。全ては、「労働貴族既得権益だけを守っている」という批判をかわすための「アリバイ工作」だった。残念ながらそれが、「連合・自治労民主党クオリティー」なのです。

惨状を正すため、体を張らねばならぬ 

 わたくしは、今は、民間で医療・介護施設の経営に携わる立場です。労働者側から経営側に回ってしまった上、自治労に対しては直接の影響力は行使できません。しかし、せめて、正規公務員、非常勤職員、そして医療・介護提供者。政府の裁量が効くこれくらいの範囲では、「同一価値労働同一賃金」を実現し、お手本を民間にも示していただかなければならない。その決意には一ミリたりとも揺るぎはありません。
 
最後に、労働組合幹部には以下のように申しあげたい。
「君たちは、ことあるごとに苦言を呈してきたわたしを煙たがり、最後は汚い手法で事実上追放して『してやったり』かもしれない。しかし、格差是正を怠れば、君たちは橋下徹に打倒されるであろうことを二万パーセント保障しよう」。

関連リンク
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さとうしゅういち記者のプロフィール
さとうしゅういち(佐藤周一)。1975年11月12日広島県福山市生まれ、東京都育ち。現在の本籍地は広島市安佐南区祇園
1999年3月、東京大学経済学部卒業。2000年4月、広島県入庁。県庁時代は、労働、医療、介護、男女共同参画などの行政に携わる。一方で、反貧困、野宿生活者支援、女性、若者、非正規労働者支援、男女共同参画、瀬戸内海の環境問題などに関する活動に従事。
2011年1月31日広島県を退職。同4月10日執行の広島県議会議員選挙(広島市安佐南区選挙区)立候補、4278票を獲得するも及ばず。同6月20日〜医療・介護関係の会社員。8月1日から広島市男女共同参画審議会委員。
所属政党 民主党(2011年1月まで)→無所属→みどりの未来(2011年8月から)
2010年度・労働組合・生存のためのメーデー広島実行委員会(略称:生存ユニオン広島)委員長。http://d.hatena.ne.jp/lifeunion/
1996年〜広島瀬戸内新聞社主 http://hiroseto.exblog.jp/
TWITTER:http://twitter.com/hiroseto/