「国民の生活が第一」は今何処 民主党政権初の介護保険「改正」

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国民の生活が第一」は今何処 民主党政権初の介護保険「改正」
2012年 1月 29日 20:32 <医療・福祉> <国会> <選挙>
さとうしゅういち

 「国民の生活が第一」は何処へ。

 1月25日、厚生労働省のHPで発表された民主党政権初の介護保険報酬改定はわたしが僅かに民主党に期待していた部分を、完全に打ち砕いてくれました。

訪問介護」では生活援助が60分から45分に上限が短縮されてしまいます。入浴介助のあと料理をしてもらうような訪問介護サービスでは90分から70分に上限が切り下がります。在宅の高齢者の方、ご家族にとり、たまったものではありません。

民主党政権は「施設から在宅へ」という方針を鮮明にしています。しかし、在宅サービスを削るのは矛盾しているのではないでしょうか?

もちろん、今回「地域包括ケア」の目玉として、24時間対応の「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を導入します。しかし、担い手の確保のめどはついていません。

 広島市介護保険事業計画案でもわずかに三つ(平成25年度)から五つ(26年度)くらいしか参入がないと予測しているのです。当たり前です。まだまだ低い給与水準で、だれが好きこのんで、24時間対応のハードな事業所を志望するでしょうか?事業者側も、こんなことをやるくらいなら、まだ施設を作った方がいいでしょう。

 そして、そもそも、民主党は介護労働者の給与を四万円上げるとマニフェストで掲げて総選挙で圧勝しています。それなのに、それを今回の改定で実行出来ないことが問題です。
 
 野田総理、小宮山厚労相、はしもと博明衆院議員らは万死に値する。これで「消費税を上げさせてくれ」、といわれてもそれは呑める話ではありません。
それとともに、こんな民主党に一時でも期待したわたし自身悔やんでも悔やみきれません。

 施設は増えない。さりとて、在宅サービスは思うように充実しない。このままでは介護難民が大量に発生します。

 北欧やイギリスでは同一価値労働同一賃金が常識で公務員のえらい人とヘルパーにこんなに差がある日本は異常です。欧州では格差是正の役目を労働組合がになっています。しかし、日本の大きな労働組合は正直、役に立たちません。正規公務員や電力会社の社員などの利益の代弁に偏っていますから期待できません。

 政治に新しい勢力が登場し、そこがリーダーシップをとって、格差是正、介護職員の待遇改善の先頭に体を張って立たねばならないと改めて思います。

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さとうしゅういち記者のプロフィール
佐藤周一。1975年11月12日広島県福山市生まれ、東京都育ち。現在の本籍地は広島市安佐南区祇園
1999年3月、東京大学経済学部卒業。2000年4月、広島県入庁。県庁時代は、労働、医療、介護、男女共同参画などの行政に携わる。一方で、反貧困、野宿生活者支援、女性、若者、非正規労働者支援、男女共同参画、瀬戸内海の環境問題などに関する活動に従事。
2011年1月31日広島県を退職。同4月10日執行の広島県議会議員選挙(広島市安佐南区選挙区)立候補、4278票を獲得するも及ばず。同6月20日〜医療・介護関係の会社員。
所属政党 民主党(2011年1月まで)→無所属→みどりの未来(2011年8月から)
2010年度・労働組合・生存のためのメーデー広島実行委員会(略称:生存ユニオン広島)委員長。http://d.hatena.ne.jp/lifeunion/
1996年〜広島瀬戸内新聞社主 http://hiroseto.exblog.jp/
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