嶋田ミカさん雇い止めでインドネシア貧困女性窮地に

龍谷大学が、嶋田ミカさんを雇止めにしたことで、インドネシア低所得者がピンチです。

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女性の貧困の連鎖―雇い止めとマイクロクレジット
 10月29日、第2回目の裁判が開かれました。多くの皆さんの傍聴と集会への出席、本当にありがとうございました。裁判で私が述べた意見陳述は、HPにアップしましたので、ご覧ください。
 集会で最後に話題になったマイクロクレジットについて、何人かの賛同人の方から、対象者や方法などについて質問を受けました。そこでマイクロクレジットと雇い止めについて書いた原稿を掲載することにしました。
 


       女性の貧困の連鎖
    ―雇い止めとマイクロクレジット
                龍谷大学雇い止め事件 
                    原告 嶋田ミカ

2010年3月、龍谷大学経済学部特別任用教員助手だった私は、雇い止めになりました。大学当局は採用時に1回更新可と明言していたにも関わらず、今日に至るまで、明確な理由を示していません。
私の専門はインドネシアの女性労働です。中部ジャワの小さな市場で、野菜や惣菜を作って売る零細な女性商人の調査をしてきました。彼女たちは早朝から夕方まで市場であるいは行商で売り歩いても、米1kg分の収入にしかなりません。労働力の女性化が進んだ結果、途上国女性の多くは、このような「ワーキングプア」の状態にあります。男性は、零細な農業や日雇い労働などの不安定で不完全な仕事しかありません。実質的に貧しい一家を支えているのは、女性なのです。


1997年のアジア経済危機以降、女性の負担は一層増えました。この苦境を目の当たりにして、1999年12月から、女性商人に対して無利子の融資を始めました。それまでは、いくつもの月利20%の高利貸から運転資金を借りて、わずかな稼ぎが利払いに消えてしまう女性も珍しくありませんでした。でも、無利子の貸付を始めてからは、次第に高利貸から脱却し、事業も生活も安定してきました。
現在、100名ほどの女性商人に融資していますが、返済率は99.4%とグラミンバンクを上回っています。グラミンバンクの貸付は年利20%ですが、私たちは無利子です。援助である以上、無利子は当然だと思います。また、借り手一人一人と信頼関係を作り、事業経営や家計状況などを把握していることも、高い返済率に繋がっていると思います。現在、多くの女性商人に貯蓄の余裕が生まれ、売れ行きが悪い日の運転資金にしています。条件さえ整えば、彼女たちには貯蓄をする意欲も能力もあるのです。
返済は日賦で、貸付や返済の集金は、3人のスタッフが担当しています。彼らの給料などクレジットの運転資金は、私個人が負担してきました。3人とも正直で誠実な人たちで、10年間金銭的なトラブルはありません。国と国の国際協力ではなく、アジアの女性同士が手を繋ぐ「民際協力の試み」 です。
しかし、私が雇い止めになったことで、順風満帆だったマイクロクレジットが危機に瀕しています。無職無収入になってしまった今、どうやってスタッフの賃金を払い、雇い続けていけばいいのか、途方にくれています。このままでは、「雇い止めの連鎖」になってしまいます。途上国で特徴的だった貧困とワーキングプアが、経済のグローバル化によって、先進国の大学の現場にまで押し寄せてきたのです。
また、せっかく高利貸から脱却した100名の女性たちは、無利子のクレジットがなくなればいったいどうなるのでしょう? 再び、高利貸しの借金地獄に陥れば、家族の生活までも悪化してしまいます。
7月5日、理由無き雇い止めの撤回を求めて、京都地裁に提訴しました。幸い、「雇用継続を求める会」 という支援組織ができて、多くの皆さまの賛同をいただきました。その中には「他人ごとではない」「事情があって、声を上げられない」「雇い止めで人生を絶たれた」などの悲痛な声が寄せられています。私は皆さんのご協力を得て、なんとしても雇用継続を勝ち取らなければいけません。大学の有期雇用問題改善のためにも、また、ジャワの女性商人の貧困緩和のためにも・・・