メーデー参加者の声、民主党広島県連に届ける! 

労働組合・生存のためのメーデー実行委員会(生存ユニオン広島)は、今日5月8日、民主党広島県連に対し(衆議院第一選挙区支部を通じ)、生存のためのメーデー広島・ふくやま(広島=5月2日、ふくやま=4月29日)に参加した方々の声を「メーデー宣言」ならびに「政策提言」の形で届けました。

以下、申し入れの鏡です。

2010年5月2日

民主党広島県支部連合会 御中

            労働組合・生存のためのメーデー広島実行委員会(略称:生存ユニオン広島) 
            執行委員長・事務局長 佐藤 周一(さとうしゅういち)
             ホームページhttp://www.shakaishimin.org/union/
             メール:hiroseto@f2.dion.ne.jp  電話090-3171-4437

メーデー宣言および政策提言について(申し入れ)

日ごろより、国民の生活のため、ご尽力いただいていることに心から感謝申し上げます。わたしたちは、2008年以降、毎年5月2日に「生存のためのメーデー広島」を開催しています。このメーデーは、北は北海道から南は熊本まで、全国で開催されている「独立系メーデー」の一つです。

 連合や全労連といった大きな労働組合も、それぞれこの時期、メーデーを開催されます。それはそれで大事です。しかし、もっと「一人一人が参加した」という実感を持てる場、社会や政治に声を届ける場を、とわたしたちは考え、このメーデーを呼びかけています。 「なくそう貧困・届けようあなたの声!「エライ人だけでつくる日本」から「みんなでつくる日本」へ」がわたしたち実行委員会の合言葉です。2008年、2009年とも、原爆ドーム前でフリートーキングを行なった後、デモに出発するという形式を取っています。2010年からは、県東部の福山市でも初めて独立系メーデーを開催しました。

 今回は、政権交代が実現して初めてのメーデーとなります。もちろん、経済的な貧困の広がりはひどかった。その上で旧政権が「聞く耳を持たない」で「エライ人」だけで物事をこそこそと決める状態に陥っていたのではないでしょうか?そのことが、2009年の衆院選で「国民の生活が第一」をマニフェストで掲げた民主党が圧勝し、歴史的な「政権交代」を実現した背景のひとつではないでしょうか?

 「政治は、政治家や官僚にまかせておくものではなく、国民の皆さん一人ひとりが考え、発言し、行動することによって変えていくものです。どうぞ、どしどしご意見を下さい。」という民主党のスタンスには、大変共感いたします。そこで、メーデー参加者の皆様の政府・与党に対しての声を、「メーデー宣言」に実行委員会としてまとめました。さらに、個別に皆様のご提案やメッセージを別紙にまとめ、お届けしたいと思います。政権交代を機に、当メーデーでも初めて政府・与党に申し入れを行うこととさせていただきました。

 中にはお耳に痛い言葉もあろうかと思います。しかし、レストランでも病院でもそうですが、苦情をいわずにお客様が離れてしまうほうが怖いわけです。苦言も含めて、しっかりと受け止めていただき、今後の国政運営に生かしていただければ幸いです。付記すれば、政策面だけでなく、姿勢として、「もっと市民と話し合う場を設けてほしい」という声、「もっと情報を発信してほしい」という声が強くあります。

 最後になりますが、みなさまが、今後とも「国民の生活が第一」を忘れずに国政を運営されること、そしてますますのご健勝とご活躍をこころからお祈り申し上げます。


生存のためのメーデー広島・ふくやま2010宣言
なくそう貧困・届けようあなたの声!
「エライ人だけでつくる日本」から「みんなでつくる日本」へ

 わたしたちは、2008年以降、毎年5月2日に「生存のためのメーデー広島」を開催しています。このメーデーは、北は北海道から南は熊本まで、全国で開催されている「独立系メーデー」の一つです。

 連合や全労連といった大きな労働組合も、それぞれこの時期、メーデーを開催されます。それはそれで大事です。しかし、もっと「一人一人が参加した」という実感を持てる場、社会や政治に声を届ける場を、とわたしたちは考え、このメーデーを呼びかけています。

 2008年、2009年とも、原爆ドーム前でフリートーキングを行なった後、デモに出発するという形式を取りました。2010年からは、県東部の福山市でも初めて独立系メーデーを開催します。

  今回は、政権交代が実現して初めてのメーデーとなります。昨年の東京の「自由と生存のメーデー」の「サウンド・デモ」に、当実行委員会のメンバーも参加しました。その際、印象に残ったシュプレヒコールは、「言うこと聞くような奴らじゃないぞ!」でした。旧政権が「聞く耳を持たない」で「エライ人」だけで物事をこそこそと決める状態に陥っていたのではないでしょうか?そのことが、2009年の衆院選で「国民の生活が第一」をマニフェストで掲げた民主党が圧勝し、歴史的な「政権交代」を実現した背景のひとつではないでしょうか?

政権交代後、生活保護母子加算復活、児童扶養手当の父子家庭への支給、障害者「自立支援」法の廃止、高校授業料無償化などが決まっています。貧困率の測定も初めて実施されました。

 一方、政権交代後も、庶民の暮らしは厳しい状態が続いています。「派遣切り」についで「育休切り」が横行しています。保育所も不足しています。介護に悩んだ挙句、仕事をやめて困窮したり、追い詰められて自殺したり、親を殺してしまう、などの悲劇も後を絶ちません。大阪府柏原市では、生活保護申請に際して、水際作戦を行なった市職員を撮影しただけで申請者が逮捕されるという事件も起きています。「普段はフツーのまじめな若者」が子どもを虐待してしまい逮捕され、また我々の仲間がメンバーが炊き出しに参加している岡山では、幼い子連れの夫婦も野宿生活をしている実態があります。
 
 これらの背景として、大都市でも農村部でも、家族の助け合いや地域の助け合いが機能しにくくなっていることがあります。たしかに、高度成長期といわれた時期、官僚や政治家が企業を保護し、企業が世帯主としての男性正社員を保護する。男性正社員の給料で、家族を扶養する、というモデルがありました。また、とくに農村部においては「地縁血縁」による助け合いも残っていました。
 
 しかし、官僚や政治家・企業を通じた分配は高度成長の終焉とともに機能しにくくなりました。地方も経済が疲弊し、高齢社会となる中で助け合いが難しくなっています。1990年代以降は、日経連は「新時代の日本的経営」に代表されるように、非正規雇用を拡大することで、企業利益を維持しようとしました。

 もともと、非正規雇用は主婦などを中心とし、「夫に養われているからいいだろう」と低賃金に押さえられていました。それが、ここ10年間では大きく広がり、いまや4割に迫っています。 先進国で日本ほど、ここまで野放図に、均等待遇もなしに、非正規雇用を拡大している国はほとんどありません。一方で、子育てや住宅などについての社会政策は先進国でも貧弱でした。このため、昨今の不況では「職と住居を同時に失う」悲劇が相次ぎ、「子どもの貧困」が深刻になっています。
 
 また、そもそも、貧困、病気、DV被害などに苦しむ方ほど、政治や行政にアクセスしにくい実態があります。わたしたちの仲間も参加する「反貧困ネットワーク広島」でも生活相談会を実施しています。弁護士会館で相談者が来るのを待っていた時より、広島駅前地下で行なったほうが相談件数は圧倒的に多くなっています。県や市町村などにも「出前役所」など、効果的な情報発信が求められます。

 いまこそ、同一価値労働労同一賃金を徹底するとともに、子育て・教育や介護、住宅などについて社会的なセーフティネットを拡充する必要があります。民主党の総選挙でのマニフェストで謳われた「企業支援から家計支援へ」は、そうした方向性ではないでしょうか?

 なお、与野党からは、「消費税増税」を求める声が出ています。もちろん、財源確保は必要ですが、生活が苦しい庶民から増税することは、貧困撲滅に逆行することになります。政府税調専門家委員会の神野直彦会長がおっしゃるように、旧政権が縮小してしまったお金持ちへの所得税法人税の課税ベースを是正することが先ではないでしょうか?

 労働者派遣法改正案については、「登録型派遣」を専門26業種に絞っても、「事務機器操作」の名目で、際限なく労働者の使い捨てが続くことになりかねません。また、派遣先の団体交渉受諾義務が先送りされています。そもそも自民党政権下で任命された「労政審議会」の結論をほぼ踏襲した案は、「政治主導」にふさわしくありません。

 また、原子力発電推進を盛り込んだ地球温暖化防止計画が閣議決定されています。しかし、日本は地震大国です。核のごみ問題も深刻です。原発のような「遠くの大型電源」から自然エネルギーなど「近くの分散型電源」に切り替えたほうが、送電ロスも少なくて済みますし、地域に雇用も生み出せます。

 また、民主党マニフェストのうち、「企業団体献金禁止」や、「取調べ可視化」なども実施のめどが立っていません。前者については、極論すれば、自民党政権時代、企業団体献金を通じて癒着してきた「エライ人」だけで、政治を牛耳ってきたからこそ、今の惨状があるのではないでしょうか? 後者については、菅家利和さんの冤罪(足利事件)、志布志事件(でっち上げ)を持ち出すまでもなく、警察や検察による人権侵害をなくすために早期の法案提出が求められます。
 
 また、普天間基地の県外移設のマニフェストを遵守すべきです。岩国基地問題でもマニフェストの「米軍再編見直し」を遵守し、「艦載機移転推進」の閣議決定を撤回すべきです。

 政府・与党が、「国民の生活が第一」の原点に常に立ち返り、以下のことを実施するよう求めます。また、さらに、別紙として参加者の声や提言を添付します。

政府・与党への要求事項

1、政府は、当面は生活再建・雇用創出・デフレ脱出に全力を挙げること。
 ・財政運営は、当面はデフレ不況脱出を最優先すること。
 ・天下りなどの「エライ人」の優遇をなくし「現場サービス」は充実させること。
 ・年金保険料を一年間半減すること。
 ・政府紙幣の発行などを財源とした一人100万円の給付付き定額控除を実施すること。

2、中長期の財源確保にあたっては、庶民からではなく、お金持ちからの増収を先に検討すること。
  ・所得税法人税の課税ベース拡大をまず検討すること。
  ・NPOへの寄付に税額控除を導入し、NPOの育成を進めること。
  ・低所得層に優しい給付付定額控除を進めること。長期的には「ベーシックインカム」の議論を進めること。

3、検察も含めた官僚機構の無駄や裏金の洗い出しを進めること。

4、同一価値労働同一賃金、均等待遇とワークライフバランスを実現すること。
  ・いわゆる官製ワーキングプアの撲滅で政府が率先垂範すること。
  ・相談員や「地域おこし協力隊」など、現場の非常勤公務員の正規化を進めること。
  ・国家公務員採用は削減せず、ワークシェアリングと同一価値労働同一賃金を実現すること。
  ・労働者派遣法をさらに踏み込んで見直し、「常時仕事がある」場合の常用雇用を徹底させること。
  ・労働基準監督署の体制や違反者への罰則強化など、労働行政を強化すること。
  ・昨今の人格権侵害認定の判例に対応し、パワハラなどへの罰則を強化すること。

5、子育て・教育や住宅、介護などを社会的に支えるシステムを確立すること。
  ・高校授業料無償化だけでなく、教育費全体の無償化を進めること。
  ・介護される人だけでなく介護する人(家族、労働者)への支援をいっそう進めること。 とくに追い
込まれやすい男性介護者への支援を強化すること。
  ・持ち家主義からの抜本的な転換を図り、公営住宅の再充実を図ること。
  
6、本当に困っている人たちにサービスや情報が行き届く「出前役所」を実施すること。
  ・母子家庭や住居喪失者、DV被害者など、困っている人たちの目に触れやすいところに、情報掲示
するなど工夫すること。
  ・家庭科と公民を統合し、生活科とし、大学入試科目とする。それにより国民の意識を高めること。

7、取り調べの全面可視化などを早期に実現を
  ・取り調べ全面可視化法案を、今国会に提出すること。
  ・庶民感覚のある弁護士を裁判官に大量に任命し、裁判の円滑化を図ること。

8、企業団体献金を禁止し、「エライ人だけでつくる政治」から「みんなでつくる政治」へ
  ・当面は政党助成金を増額するか、公設秘書を増加させること。
  ・個人献金に「税額控除」を導入すること。
  ・選挙運動を自由化や供託金を引き下げにより、一般人が立候補しやすくすること。
  ・審議会など公的な意思決定機関の男女比や正規・非正規労働者比などが偏らないようにすること。
  ・多様な人が議員になりやすいように、国会議員や地方議員の定数削減は慎重に対応すること。
とくに地方議員については議員の権能について国民的議論を深めること。

9、環境対策は「原発増設」ではなく「エネルギー・食料の地産地消」や「交通体系見直し」で
・強引に上関原発建設を進める中国電力に対し、再考を促すこと
高速増殖炉もんじゅ」再開は中止し、再度縦割りを排した「事業仕分け」の対象とすること。
・電気の地産地消を進めること。
広島県内でも多い小型水力発電にも太陽光並の買い取り制度を充実させること。
・高速道路料金は、総合的な交通体系を国民的に議論する中で決定すること。
・食料の地産地消を進めること。特に規格外農産物(まがった大根など)の有効活用を図ること。
・公営農場を設置し、サラリーマン感覚で就農する選択肢をつくること。

10、日本国憲法を遵守し、米軍基地の縮小・撤去を
普天間基地は無条件で撤去すること。
岩国基地への艦載機移転は強行せず、米軍再編そのものを見直すこと。
イラク戦争に検証を早急に行なうこと。
・NPT再検討会議には鳩山総理自から出席し、アメリカなど核保有国に対し、さらに踏み込んだ核軍縮
を求めること。

申し入れに当たって、わたしたちは、広島と福山において開催したメーデーが、北は札幌、南は熊本まで各地で開催されている「独立系メーデー」の一環であることを説明。非正規雇用の労働者を中心に、大きな組織には入れない、あるいは、組織ではなかなか反映されないような声を、政治や社会に伝えたいという意図で、開催していると説明しました。

原爆ドーム前で「生存のためのメーデー」今年も開催
http://www.janjanblog.com/archives/946

福島瑞穂大臣も参加 自由と生存のメーデー
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「フツーの仕事がしたい」を鑑賞、映像労働のあり方熱く議論 自由と生存のメーデー三日目
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自由と生存のメーデー2010 デモ隊が新宿の繁華街を練り歩く
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穴から地上に出た「棄民」達。インディーズ系メーデー東京・同行記録。
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雨宮処凜と共に開けた「パンドラの箱」。インディーズ系メーデー東京。
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その上で、わたくしたちからは「いろいろとマスコミなどでも民主党への風当たりが多いが、『国民の生活が第一』に立ち返ってがんばってほしい。

常に、2009年8月30日の総選挙で何故勝利したか、思い出しながら、がんばってほしい。提言の中には厳しい声も含まれているが、厳しい声は『しっかりして欲しい』ということの裏返し。」と激励させていただきました。